「自社サイトをリニューアルしたいが、社内にエンジニアがいない」「制作会社に依頼すると数百万円かかると言われた」——Web担当を任された方から、こうした声をよく聞きます。そこで候補に挙がるのが、コードを書かずにサイトを作れるノーコードツールです。なかでも国内で知名度が高いのが「Studio(スタジオ)」ですが、実際どこまでできるのか、料金はいくらなのか、判断材料が足りずに迷っている方は多いはずです。この記事では、Studioの概要から料金プラン、できること・できないこと、WordPressやWixとの違いまでを整理して解説します。
Studio(スタジオ)とは?ノーコードで使えるWeb制作ツールの概要
運営会社と提供形態
Studioは、日本のStudio株式会社(Studio Inc.)が開発・提供しているWeb制作プラットフォームです。2016年に設立された国内発のスタートアップで、サービス自体も日本語で提供されているため、海外製ツールにありがちな「マニュアルが英語しかない」「サポートに日本語で問い合わせられない」といったハードルがありません。「studio ノーコード どこの会社」「どこの国」といった検索が一定数あるとおり、海外サービスと誤解されがちですが、日本企業のプロダクトです。
提供形態はSaaS(クラウドサービス)で、Webブラウザ上のエディタでデザインし、そのまま公開まで完結します。レンタルサーバーの契約もFTPでのアップロードも不要で、公開に必要なホスティング環境はStudio側に用意されています。SSL/TLSの証明書も自動で発行・更新されるため、証明書の期限切れを気にする必要もありません。
なぜ「ノーコード」と呼ばれるのか
Studioが「ノーコード」と呼ばれるのは、HTML・CSS・JavaScriptを一行も書かずに、レイアウト、余白、フォント、アニメーションまでを画面上の操作だけで指定できるからです。一般的なホームページ作成サービスは「用意されたテンプレートの穴埋め」に近い設計ですが、Studioはボックスの配置やサイズをピクセル単位で調整できるため、デザインの自由度が高いのが特徴です。
つまり、「コードは書けないが、デザインの意図は明確にある」という担当者にとって、実現したいものと作れるものの差が小さいツールだといえます。一方で、この自由度の高さは後述するデメリットにも直結します。
「STUDIO」と「Studio」の表記・読み方
かつては「STUDIO」と全て大文字で表記されることが多く、解説記事や検索キーワードでも「STUDIO ノーコード」として広まりました。現在の公式表記は「Studio」です。読み方はそのまま「スタジオ」で、記事や資料ではどちらの表記も見かけますが、指しているサービスは同じです。
Studioでできること
コードを書かないデザイン構築
Studioの中核はデザインエディタです。ボックス、テキスト、画像、動画といったパーツを配置し、余白や配色を調整していく流れで、Webページを組み立てます。PC・タブレット・スマートフォンそれぞれの表示幅ごとにレイアウトを個別調整できるため、レスポンシブ対応も標準で行えます。
また、デザインツール「Figma」で作成したデザインをStudioに取り込む「Figma to Studio」も用意されており、デザイナーが作ったカンプを実装に落とし込む工程を短縮できます。テンプレートを起点にしたい場合は、公式の「Studio Store」で業種・サイト種別ごとに400を超えるテンプレートが公開されています。
CMSによる記事・お知らせの運用
ブログ、お知らせ、導入事例、採用情報のように定期的に増えていくコンテンツは、CMS機能で管理できます。記事の作成・編集に加え、公開日時を指定した予約公開にも対応しているため、プレスリリースの解禁時刻に合わせた公開といった運用が可能です。
フォーム設置と回答管理
問い合わせフォーム、資料請求フォーム、アンケートなどをノーコードで設置できます。回答はStudioの管理画面で確認でき、通知メールの設定、CSV出力、Googleスプレッドシートとの連携にも対応しています。BtoBサイトでリード獲得の導線を作るうえで必要な機能は、標準機能の範囲で一通りそろっています。
SEO設定と外部ツール連携
ページごとのタイトル、ディスクリプション、OGP画像の設定、sitemap.xmlの生成、画像のalt属性の設定など、検索エンジン向けの基本的な設定に対応しています。301リダイレクトの設定も可能なため、既存サイトからURLを変えて移行する場合でも評価の引き継ぎを図れます。
外部連携では、Googleアナリティクス、Googleタグマネージャー、Search Console、reCAPTCHA、Meta Pixel、チャットツールなどに対応。Studioが直接対応していないツールも、タグマネージャーや埋め込みコード経由で連携できるケースがあります。
複数人での共同編集と権限管理
プロジェクトにメンバーを招待し、複数人で制作・更新できます。メンバーごとにロールと権限を設定できるため、「制作担当は全体を編集、更新担当はテキストと画像だけ差し替え」といった運用も設計可能です。編集範囲をテキストや画像に限定する「コンテンツ編集モード」を使えば、デザインを崩さずに現場の担当者へ更新を任せられます。
Studioでできないこと(現時点で対応していない機能)
「ノーコードstudioでできないことは?」は検索需要の高い疑問です。導入後のギャップを避けるため、あらかじめ押さえておきましょう。
会員登録・ログイン機能は実装できない
Studio単体では、ユーザーが会員登録してログインし、マイページを持つような会員機能は作れません。公式のFAQでも、会員限定ページは対応していない機能として明記されています。
サイト全体にパスワードをかける機能は上位プランに用意されていますが、これは「サイト全体に1つのパスワード」であり、閲覧者ごとに異なるパスワードを発行することはできません。会員向けの限定コンテンツを配信したい場合は、別のサービスとの併用が前提になります。
EC・決済機能は標準では持たない
「ノーコードのstudioでecはできますか?」という質問も多く見られますが、Studio自体はショッピングカートや決済の仕組みを内蔵していません。公式FAQでもEC機能は対応していない機能として挙げられています。
ただし、まったく物販ができないわけではありません。Shopifyとの API連携によって商品情報をStudio側に表示し、購入ボタンからShopifyの決済画面へ遷移させる構成は実現できます。BASEやSTORESなど外部ECへのリンクを設ける方法もあります。いずれも「ブランドサイトはStudio、取引はECプラットフォーム」という役割分担であり、在庫同期やポイント付与まで一元管理する本格的なEC運用には向きません。
tableタグを使った表や動的な機能
HTMLの<table>タグをそのまま使った表組みや、JavaScriptによる並び替え・検索・ソートといった動的な機能は実装できません。料金表や仕様比較表のような表現は、ボックスを組み合わせて見た目上の表を作る形になります。
スマートフォン・タブレットからの編集
Studioのエディタは基本的にPCのブラウザ(Chrome系)向けに提供されており、スマートフォンやタブレットから編集することはできません。「外出先でスマホからお知らせを1本更新したい」といった運用は想定されていない点に注意が必要です。
HTML/CSSの書き出しと他環境への移設
作ったサイトのHTML/CSSを書き出して別のサーバーに移す、といった使い方はできません。サイトはStudioのホスティング上で公開する前提のため、将来的に他の環境へ移す可能性がある場合は、この点をリスクとして見積もっておく必要があります。
Studioの料金プラン
料金はサイト(プロジェクト)単位で発生します。以下は公式サイトで案内されている2026年8月時点のプラン構成です。料金は改定されることがあるため、契約前には必ず公式の料金ページで最新の情報を確認してください。
| プラン | 年払い時の月額 | 月払い | ページ数上限 | CMSモデル | ストレージ | 想定用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Free | 0円 | ― | 50P | 3件 | 5GB | お試し・検証 |
| Mini | 590円 | 1,290円 | 2P+404ページ | 3件 | 10GB | LP・シングルページ |
| Personal | 1,190円 | 1,720円 | 150P | 5件 | 10GB | ポートフォリオ・個人利用 |
| Business | 3,980円 | 5,460円 | 300P | 10件 | 100GB | 小規模サイト |
| Business Plus | 9,980円 | 12,900円 | 300P | 30件 | 100GB | 法人利用の標準 |
| Enterprise | 要問い合わせ | ― | 無制限 | 無制限 | カスタム | 上場企業など |
無料プランでどこまでできるか
Freeプランでもデザインエディタ、CMS、フォームといった基本機能は使えます。ただし、公開先はStudioのサブドメイン(.studio.design)に限られ、独自ドメインを接続して公開するにはMini以上の有料プランが必要です。Studioのバナー非表示も有料プランからです。まずFreeで作り込み、公開のタイミングで有料プランに切り替えるという進め方が現実的でしょう。
有料プランで増える機能
有料プランでは、独自ドメイン接続、Googleアナリティクス・GTM連携、バージョン管理期間の延長などが解放されます。バージョン管理はFreeが1日、Miniが5日、Personalが30日、Businessが120日、Business Plusが360日と、プランに比例して過去に戻せる期間が長くなります。法人利用では「誤って公開した内容を戻したい」場面が起こり得るため、この差は無視できません。
Business Plus以上では、同時接続数1,000件の保証、アクティビティログ、優先サポート対応などが加わります。有人のチャットサポートはMiniプラン以上の契約プロジェクトが対象で、Freeプランはヘルプセンターとコミュニティでの自己解決が基本です。
ワークスペースプランは別契約
複数プロジェクトをまとめて管理する「ワークスペース」は、サイトのプランとは別契約です。Freeワークスペースはプロジェクト最大3件まで無料、Teamは年払いで1名あたり月額1,450円(最低3名から)でプロジェクト数無制限、メンバーごとの細かな権限管理やゲスト招待に対応します。制作会社や、複数ブランドのサイトを運用する企業では、この費用も合わせて試算しておくべきです。
Studioのメリットとデメリット
メリット
1. デザインの自由度が高い テンプレートの枠に縛られず、ピクセル単位でレイアウトを調整できます。「テンプレート感のある見た目」を避けたいブランドサイトやコーポレートサイトでは、この点が最大の選択理由になります。
2. サーバー管理・保守の負担がない レンタルサーバーの契約、SSL証明書の更新、CMS本体やプラグインのアップデートといった保守作業が発生しません。WordPressで起こりがちな「更新を放置して脆弱性を突かれる」というリスク構造そのものがなくなります。
3. 日本語で完結する 管理画面もヘルプセンターも日本語で、有料プランでは日本語のチャットサポートを受けられます。ユーザーコミュニティも国内に存在するため、つまずいたときの情報が探しやすい環境です。
4. 更新をチームに分散できる 権限設定とコンテンツ編集モードにより、「Web担当者しか触れない」状態を解消できます。お知らせや事例の追加を各部署に任せられれば、更新頻度は上がりやすくなります。
5. 公開までのスピードが速い デザインから公開までが同じ画面で完結するため、デザイン→コーディング→サーバー設置という工程の受け渡しが不要です。LPのように短期で立ち上げたい施策との相性が良い構造です。
デメリット
1. デザインの知識がないと逆に難しい 「コードが不要」と「誰でも作れる」は別の話です。Studioは余白や整列を自分で決める設計のため、デザインの基礎がないと、自由度の高さがそのまま迷いに変わります。テンプレートの穴埋めで済ませたい人には、かえって扱いにくいと感じられる可能性があります。
2. 機能の拡張性に限界がある WordPressのようにプラグインを追加して機能を足していく仕組みはありません。会員機能、EC、複雑な検索機能など、標準機能の外側にある要件は、外部サービスとの連携で回避するか、そもそも別の手段を選ぶ判断が必要です。
3. ランニングコストがサイト単位で発生する 法人利用の標準とされるBusiness Plusは年払いでも月額9,980円、ワークスペースのTeamプランを併用すればさらに費用が乗ります。サイトを複数持つ企業では、レンタルサーバー1契約に複数サイトを同居させる運用と比べて割高になるケースがあります。
4. 特定の環境に依存する 編集はPCのChrome系ブラウザが前提で、スマートフォンやタブレットからは更新できません。またHTML/CSSの書き出しができないため、他の環境へ移す自由度は低くなります。
5. 使えない機能を事前に洗い出す必要がある tableタグ、ログイン機能、決済機能など、対応していない領域が明確に存在します。要件定義の段階でこれらを見落とすと、制作の途中で作り直しが発生します。
StudioとWordPress・Wixの違い
「ノーコードツールならどれでも同じ」ではありません。主要な選択肢との違いを整理します。
| 比較軸 | Studio | WordPress | Wix |
|---|---|---|---|
| デザイン自由度 | 高い(ピクセル単位で調整可) | テーマ次第。作り込むにはコードが必要 | 中程度。テンプレート起点 |
| サーバー管理 | 不要(ホスティング込み) | 必要(契約・更新・保守は自己責任) | 不要 |
| 拡張性 | 標準機能の範囲+API連携 | プラグインで大幅に拡張可 | アプリマーケットで追加可 |
| EC・会員機能 | 標準では非対応 | プラグインで実装可 | 標準機能で対応 |
| 学習コスト | デザイン知識があると有利 | 技術知識が必要 | 低い |
| 費用 | サイト単位の月額 | サーバー代+テーマ・プラグイン代 | プラン月額 |
| 日本語サポート | あり(有料プラン) | コミュニティ中心 | あり |
WordPressは60,000を超えるプラグインで、ほぼどんな要件にも対応できる拡張性が強みです。その代わり、サーバー、バージョンアップ、セキュリティを自社で管理する責任が伴います。Wixはテンプレートから素早く立ち上げられる手軽さが持ち味で、EC機能も標準搭載されています。一方でデザインの独自性を突き詰めるには限界があります。
整理すると、独自性のあるデザインをノーコードで実現し、保守の手間を抑えたいならStudio、機能拡張とオウンドメディアの規模拡大を優先するならWordPress、手早く一通りそろったサイトを立ち上げたいならWixという住み分けになります。
なお、WordPressからStudioへの移行では、XMLファイルを使って投稿記事・固定ページ・カテゴリー・タグなどの一部データをStudio CMSにインポートできます。ただしデザインや設定がそのまま移るわけではないため、ページ構成、CMS設計、URLとリダイレクトの再設計は必要です。
Studioがおすすめの企業・サイトの種類
Studioの特性を踏まえると、次のようなケースと相性が良いといえます。
コーポレートサイト 会社概要、事業紹介、お知らせ、問い合わせフォームという構成は、Studioの標準機能でほぼ完結します。ブランドイメージを左右する見た目を作り込みやすく、保守の負担も小さいため、情報システム部門を持たない企業ほどメリットが大きくなります。
採用サイト 社員インタビューや募集要項のように、写真とテキストで世界観を伝えるコンテンツはStudioの得意分野です。募集要項の追加・終了はCMSで管理でき、人事担当者が自分で更新できる体制を組めます。
サービスサイト・LP Miniプランは2ページ+404ページという構成で、年払いなら月額590円です。キャンペーンLPを複数本回すマーケティング施策では、1本あたりのコストを抑えながら高速に立ち上げられます。
ブランドサイト・店舗紹介サイト 飲食店や小売など、写真の見せ方が集客を左右する業種にも向きます。物販が必要な場合は、Studioでブランドサイトを作り、外部ECへ送客する構成が現実的です。
イベント・キャンペーンサイト アクセスが集中するサイトでも、契約内容に応じて同時接続数の保証を受けられます。サーバーの増強作業を自社で行う必要がない点は、短期集中型の施策で効いてきます。
逆に、会員制サービス、本格的なECサイト、独自の業務システムと連携する大規模サイトは、Studio単体では要件を満たしにくい領域です。この場合はWordPressやShopify、スクラッチ開発を含めて検討したほうが、結果的に手戻りが少なくなります。
まとめ
Studio(スタジオ)は、日本のStudio株式会社が提供するノーコードのWeb制作プラットフォームです。HTML/CSSを書かずにピクセル単位でデザインを調整でき、CMS、フォーム、SEO設定、ホスティングまでを1つの環境で完結できる点が特徴です。
料金はサイト単位で、Freeプランは0円、独自ドメインでの公開はMiniプラン(年払い時 月額590円)から、法人利用の標準とされるBusiness Plusは年払い時 月額9,980円です。複数プロジェクトを管理するワークスペースは別契約になります。
一方で、会員登録・ログイン機能、EC・決済機能、tableタグを使った表組み、HTML/CSSの書き出し、スマートフォンからの編集といった、現時点で対応していない領域も明確に存在します。デザインの自由度が高い分、デザインの基礎知識がないと扱いに迷いやすいという性質もあります。
WordPressは拡張性、Wixは手軽さ、Studioはデザイン自由度と保守負担の軽さ——それぞれ強みの方向が異なります。自社が作りたいサイトに会員機能やECが必要かどうかを最初に切り分け、必要ないのであればStudioは有力な選択肢になります。まずはFreeプランで実際にエディタを触り、想定している表現が作れるかを確かめたうえで、公開のタイミングでプランを選ぶのが失敗の少ない進め方です。
