「CMSを導入したいけれど、種類が多すぎてどれを選べばいいのか分からない」「みんなが使っている定番のCMSを知りたい」——Webサイトの構築や刷新を検討していると、必ずと言っていいほどこの悩みに突き当たります。数あるCMSのなかで、いま世界と日本でどれだけ使われているのかを示す「シェア」は、ツール選びの有力な判断材料になります。この記事では、W3TechsやDataSign(教えてURL)といった一次データをもとに、2026年最新の世界・日本のCMSシェアランキングを整理し、そのうえで「シェアだけに頼らない」CMS選定のポイントまで解説します。
CMSとは?シェアを知ることが重要な理由
CMSの基本的な役割
CMS(Content Management System=コンテンツ管理システム)とは、HTMLやCSSといった専門知識がなくても、Webサイトのページやブログ記事を作成・更新・管理できるシステムのことです。従来のWebサイト制作では、1ページを更新するたびにコードを書き換える必要がありましたが、CMSを導入すれば、管理画面から文章や画像を入力するだけでコンテンツを公開できます。
このため、社内の担当者が自分でサイトを運用できるようになり、更新のたびに制作会社へ依頼するコストや時間を削減できます。コーポレートサイト、オウンドメディア、ECサイト、採用サイトなど、いまや多くのWebサイトが何らかのCMS上で運用されています。
シェアランキングを知ることでわかること
CMSのシェア(市場占有率)を知ることには、いくつかの実務的なメリットがあります。
- 情報やノウハウの探しやすさ:シェアが高いCMSほど、使い方の解説記事やトラブル解決の情報がネット上に豊富にあります。
- 人材・パートナーの見つけやすさ:利用者が多いCMSは、扱える制作会社やエンジニアも多く、運用体制を組みやすくなります。
- 拡張性・エコシステムの充実度:シェアが大きいと、プラグインやテーマ、外部ツールとの連携先も増える傾向にあります。
一方で、後述するように「シェアが高い=自社に最適」とは限りません。世界シェアと日本国内のシェア、さらに上場企業に絞ったシェアでは顔ぶれが大きく変わるため、複数の切り口でシェアを把握することが、失敗しないCMS選びの第一歩になります。
【世界】CMSシェアランキングTOP10
世界シェア1位はWordPress
世界のCMSシェアを測る代表的な指標が、Web技術の利用状況を継続調査している W3Techs のデータです。2026年7月時点のW3Techsによると、全世界のWebサイトのうちCMSを使っているサイトのなかで、WordPressが約59.2% と圧倒的なシェアを占めています。これは全Webサイトベースで見ても約41.5%にあたり、世界中のサイトのおよそ4割がWordPressで動いている計算です。
なお、W3Techsの調査では、監視対象のCMSをまったく使っていないサイトが約29.9%あるとされています。裏を返せば、CMSを利用しているサイトのなかでのWordPressの存在感は、他を大きく引き離しているといえます。
2位以下の主要CMS(Shopify・Wix・Squarespaceなど)の特徴
2位以下は、近年伸びているクラウド型(SaaS型)のサイトビルダーが目立ちます。W3Techs(2026年7月時点)をもとにした世界のCMSシェアランキングは以下のとおりです。数値は出典や集計時点によって変動するため、あくまで目安として捉えてください。
| 順位 | CMS | CMS利用サイト内シェア | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | WordPress | 約59.2% | オープンソース。汎用性が高く用途を選ばない定番 |
| 2 | Shopify | 約7.5% | ECに特化したクラウド型。ネットショップ構築の世界的標準 |
| 3 | Wix | 約6.1% | ノーコードで作れるクラウド型サイトビルダー |
| 4 | Squarespace | 約3.5% | デザイン性の高いテンプレートが強みのクラウド型 |
| 5 | Joomla | 約1.7% | 歴史のあるオープンソースCMS |
| 6 | Webflow | 約1.2% | デザイン自由度の高いノーコード系プラットフォーム |
| 7 | Duda | 約1.1% | 制作会社向けに強いクラウド型 |
| 8 | Drupal | 約1.0% | 大規模・高セキュリティ用途に強いオープンソース |
| 9 | Adobe(AEM等) | 約0.9% | エンタープライズ向け商用CMS |
| 10 | Google Systems | 約0.8% | Googleサイト等 |
世界的なトレンドとして、WordPressやJoomla、Drupalといったオープンソース型が少しずつシェアを譲り、Wix・Shopify・Squarespaceのようなクラウド型(ホスティング一体型)が着実に伸びている点が挙げられます。とくにWixは年間成長率が高く、専門知識がなくても短時間でサイトを立ち上げられる手軽さが支持されています。
【日本国内】CMSシェアランキングTOP10
国内でもWordPressが圧倒的シェア
日本国内に目を移しても、王者はやはりWordPressです。各種調査によると、日本語サイトにおけるWordPressのシェアは8割超とされ、世界シェア(約6割)よりもさらに高い水準にあります。ある調査では国内シェアが83%前後という数字も報告されており、日本ではWordPress人気がとりわけ根強いことがうかがえます。
この背景には、日本語の情報や解説書が豊富なこと、扱える制作会社が多いこと、無料で始められるオープンソースであることなどがあります。個人ブログから中小企業のサイト、オウンドメディアまで幅広く使われており、「まず候補に挙がるCMS」としての地位を確立しています。
国内2位以下の主要CMSの特徴
日本国内では、2位以下の顔ぶれが世界ランキングとやや異なります。ECに強いShopifyが上位に入る一方、世界3位のWixは国内での普及がそれほど進んでいないと指摘されています。国内の一般的なWebサイトを対象にしたシェアの傾向は、おおむね次のようになります(調査により順位は前後します)。
| 順位 | CMS | 特徴 |
|---|---|---|
| 1 | WordPress | 国内シェア8割超。個人〜中小企業まで幅広く普及 |
| 2 | Shopify | ネットショップ構築の定番クラウド型 |
| 3 | Adobe(Experience Manager等) | 大企業のブランドサイトで採用 |
| 4 | Jimdo | ノーコードで作れる中小・個人向けサイトビルダー |
| 5 | STUDIO | デザイン自由度の高い国産ノーコードツール |
| 6 | Wix | 世界シェアは高いが国内浸透は限定的 |
国内で特徴的なのは、大企業やコーポレートサイトの領域になると、後述する国産CMSの存在感が一気に増す点です。汎用サイト全体のシェアと、企業サイトに絞ったシェアを分けて見ることが、日本市場を理解するうえで欠かせません。
上場企業におけるCMS導入シェアの傾向
一般サイトと上場企業で傾向が異なる理由
一般的なWebサイト全体ではWordPressが独走していますが、上場企業のコーポレートサイトに絞ると、様相が変わってきます。DataSign社が公開している「上場企業CMS調査レポート(教えてURL)」の2025年8月度版は、日本取引所グループの上場企業3,807社が運用する19,265URLをクローリング調査したもので、企業サイトのCMS利用実態を知る貴重な一次データです。
上場企業でも検出数トップはWordPressですが、2位以下には国産の商用CMSがずらりと並びます。これは、大企業のサイトではセキュリティ、堅牢な権限管理、手厚い日本語サポート、大規模運用への対応が重視され、こうした要件に応える国産CMSが選ばれやすいためです。無料で自由度が高い反面、セキュリティ対策や保守を自社で担う必要があるWordPressとは、求められる条件が異なるわけです。
上場企業に強いCMS(ShareWith・Movable Type・microCMSなど)
同レポート2025年8月度版で検出数が多かったCMSを、実際の検出数とともに整理すると以下のようになります。WordPressの突出ぶりと、2位以下に国産CMSが集中している点が読み取れます。
| 順位 | CMS | 検出数 | タイプ |
|---|---|---|---|
| 1 | WordPress | 5,319 | オープンソース |
| 2 | ShareWith | 202 | 国産・クラウド型 |
| 3 | Drupal | 120 | オープンソース |
| 4 | Movable Type | 113 | 国産・商用 |
| 5 | microCMS | 109 | 国産・ヘッドレス |
| 6 | Blue Monkey | 108 | 国産・クラウド型 |
| 7 | Adobe Experience Manager | 103 | 商用(外資) |
| 8 | HeartCore | 82 | 国産・商用 |
| 9 | DNN | 81 | 商用 |
| 10 | infoCMS | 72 | 国産 |
※検出数は同調査による。WordPressにはWordPress.com(81件)を含めていません。
国産CMSでトップに立った ShareWith は、大企業・グループ会社への導入が多いクラウド型CMSで、金融機関にも採用されるセキュリティ水準が評価されています。Movable Type はシックス・アパートが提供する老舗の国産CMSで、2025年10月には最新版「Movable Type 9」がリリースされ、UIやリッチテキストエディタの改善で編集の手間を減らす方向に進化しています。microCMS は後述するヘッドレスCMSの国産代表格で、とくに新興のグロース市場企業での採用が目立ち、モダンなWeb開発との親和性の高さから支持を広げています。
CMSの種類とシェアの違い
オープンソース型CMS
WordPress、Drupal、Joomlaに代表されるオープンソース型は、ソースコードが公開され、無料で利用できるCMSです。ライセンス費用がかからず、プラグインやテーマで自由に機能を拡張できるのが最大の魅力で、世界・国内ともにシェアの中心を占めています。
一方で、セキュリティ対策・バージョンアップ・バックアップなどの運用は基本的に自己責任です。利用者が多いぶん攻撃の対象にもなりやすいため、放置すると脆弱性を突かれるリスクがあります。手軽に始められる反面、安全に使い続けるには一定の知識と運用体制が必要です。
商用・独自開発型CMS(クラウド型/オンプレミス型)
ShareWith、Movable Type、HeartCore、Adobe Experience Managerなどの商用CMSは、提供企業のサポートを受けながら運用できるのが特徴です。ライセンス費用や利用料は発生しますが、セキュリティやサポート体制が整っており、企業サイトで重視される安心感があります。
提供形態は大きく2つに分かれます。ベンダーのサーバー上で使うクラウド型(SaaS型)は、サーバー管理やアップデートを任せられ、導入・運用の負担が軽いのが利点です。一方、自社のサーバーに構築するオンプレミス型は、初期構築の手間はかかるものの、独自のセキュリティ要件やシステム連携に柔軟に対応できます。上場企業で国産商用CMSが選ばれやすいのは、こうしたサポートと堅牢性を求めるニーズが背景にあります。
ヘッドレスCMS
近年注目を集めているのが、microCMSやContentfulに代表されるヘッドレスCMSです。ヘッドレスCMSは、コンテンツを管理する「バックエンド」と、それを表示する「フロントエンド(見た目)」を切り離した構造を持ちます。コンテンツはAPI経由で配信されるため、Webサイトだけでなくスマホアプリ、デジタルサイネージなど、複数のチャネルに同じコンテンツを届けやすいのが強みです。
表示部分を自由に開発できるため、表示速度やデザインの自由度を高められる一方、フロントエンドを別途構築する必要があり、開発の専門知識が求められます。上場企業調査でmicroCMSが新興企業を中心に伸びているのも、モダンな開発スタイルとの相性の良さを反映したものといえるでしょう。
なぜWordPressはここまでシェアを伸ばしたのか
世界・日本ともにWordPressが圧倒的なシェアを持つのには、いくつもの理由が重なっています。
- 無料で始められる:オープンソースでライセンス費用がかからず、導入のハードルが低い。
- 拡張性が高い:数万種類ともいわれるプラグインやテーマがあり、ECからメディアまで幅広い用途に対応できる。
- 情報が豊富:利用者が多いため、使い方やトラブル解決の情報が日本語でも大量に流通している。
- 扱える人材・制作会社が多い:運用や制作を依頼できる相手を見つけやすく、体制を組みやすい。
- SEOとの相性:構造がシンプルで、SEO関連のプラグインも充実しており、集客施策を打ちやすい。
こうした「導入しやすく、困ったときに情報や人が見つかる」という好循環が、さらに利用者を呼び込み、シェアを押し上げてきました。まさにネットワーク効果が働いている状態だといえます。
ただし、WordPressにも弱点はあります。プラグインを増やしすぎると管理が煩雑になり、セキュリティ対策やアップデートを怠ると脆弱性のリスクが高まります。シェアが高いことと、自社にとって最適であることは別問題です。
シェアだけで選ばない、CMS選定の5つのポイント
シェアランキングは有力な参考情報ですが、それだけでCMSを決めるのは危険です。最後に、CMS選定で押さえておきたい5つの視点を紹介します。
運用目的との適合性
まず明確にすべきは「そのサイトで何を実現したいか」です。ブログやオウンドメディアならWordPress、ネットショップならShopify、大規模な企業サイトや多部門運用なら国産の商用CMS、複数チャネルへの配信を重視するならヘッドレスCMS——というように、目的によって最適解は変わります。目的と機能が噛み合わないCMSを選ぶと、後から無理な作り込みが必要になります。
セキュリティ対策
企業サイトでは、情報漏えいや改ざんは信用に直結する重大な問題です。オープンソース型は自社での対策が前提となる一方、商用のクラウド型はベンダー側がセキュリティを担保してくれます。自社でどこまで運用・保守を担えるのかを踏まえ、必要なセキュリティ水準を満たせるCMSを選びましょう。
サポート体制
トラブル時や仕様変更時に、どこまで支援を受けられるかも重要です。商用CMSはベンダーサポートが受けられますが、オープンソース型は原則として自力またはパートナー任せになります。社内にエンジニアがいない場合は、サポートの手厚さや、相談できる制作会社の有無が運用の安定性を左右します。
運用コスト
CMS選定では、初期の導入費用だけでなく、ライセンス費・保守費・サーバー費・更新にかかる人件費まで含めた総コスト(TCO)で考える必要があります。「無料だから」とオープンソースを選んでも、セキュリティ対策やカスタマイズに費用がかさむこともあります。逆に商用CMSは費用が明確で、運用負担を金額に置き換えて管理しやすい面があります。
Webサイトの規模との適合性
数ページの小規模サイトと、数千ページを多部門で運用する大規模サイトでは、求められるCMSがまったく異なります。小規模ならクラウド型サイトビルダーで十分なこともありますし、大規模サイトでは権限管理やワークフロー機能を備えたエンタープライズ向けCMSが必要になります。将来の拡張も見据えて、サイト規模に見合ったCMSを選びましょう。
まとめ
2026年最新の調査では、世界・日本ともにWordPressがCMSシェアの首位を維持しており、世界では約6割、日本国内では8割超という圧倒的な存在感を示しています。一方で、世界ではShopify・Wix・Squarespaceといったクラウド型が伸び、日本の上場企業ではShareWithやMovable Type、microCMSなどの国産CMSが選ばれるなど、切り口を変えるとランキングの顔ぶれは大きく変わります。
重要なのは、シェアの高さをそのまま「自社にとっての正解」と受け取らないことです。運用目的・セキュリティ・サポート・コスト・サイト規模という5つの視点で、自社に本当に合ったCMSを見極めることが、成果につながるサイト運用の出発点になります。
