「インタビュー記事を任されたけれど、何から手をつければいいのかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか。取材相手の言葉をそのまま並べても読み物にはならず、かといって編集しすぎると本人の魅力が失われてしまう。インタビュー記事は、事前準備・当日の質問・執筆という3つの工程それぞれにコツがあります。この記事では、インタビュー記事の基本的な役割や3つの形式から、事前準備・当日のポイント・執筆から公開までの流れ、さらによくある失敗や読者を惹きつけるコツまでを体系的に解説します。読み終える頃には、はじめての方でも迷わず取材に臨めるはずです。
インタビュー記事とは?基本の役割と3つの形式
インタビュー記事とは、取材相手(インタビュイー)への質問と回答をもとに構成する記事のことです。書き手であるライターやインタビュアーが会話を通じて引き出した情報を、読者に伝わる文章へと再構成していきます。
インタビュー記事の目的とメリット
インタビュー記事の最大の価値は、当事者の生の声や経験にもとづく一次情報を届けられる点にあります。書き手が一人で書くコラムと違い、実際に体験した人のエピソードや本音が入るため、説得力と信頼感が生まれます。
企業のコンテンツマーケティングでインタビュー記事が活用される主なシーンは、次のとおりです。
| 活用シーン | 主な目的 |
|---|---|
| 導入事例・お客様の声 | サービスの効果を第三者の視点で証明する |
| 社員・採用インタビュー | 職場の雰囲気や働き方を伝え、応募につなげる |
| 経営者インタビュー | 企業のビジョンや想いをブランディングする |
| 開発者インタビュー | 製品開発の背景やこだわりを伝える |
いずれも、書き手の主張ではなく「人の言葉」で語られるからこそ、読者の共感を得やすいのが特徴です。
Q&A形式(対談形式)
Q&A形式は、質問と回答を交互に並べる、取材時のやり取りにもっとも近い書き方です。「——◯◯についてお聞かせください」「はい、それは…」というように会話がそのまま進むため、読者にとって情報の流れがわかりやすく、テンポよく読めます。複数のテーマを扱うインタビューや、対談形式で複数人が登場する記事に向いています。
モノローグ形式(一人称形式)
モノローグ形式は、インタビュアーを表に出さず、インタビュイー本人が「私は…」と語る一人称で構成する方法です。対象者の視点で話が一貫して進むため、読者は相手の感情や考えに深く入り込みやすくなります。経営者の想いや、社員のキャリアストーリーなど、人柄や熱量を伝えたいテーマと相性の良い形式です。
ルポ形式(三人称形式)
ルポ形式は、書き手が第三者の視点から状況を描写する三人称のスタイルです。「彼はゆっくりと言葉を選びながら語った」というように、会話の内容だけでなく相手の表情や仕草、その場の雰囲気まで盛り込めるため、臨場感のあるストーリーとして仕上がります。ドキュメンタリー性の高い記事や、読み物としての完成度を重視する企画に適しています。
3つの形式の違いを整理すると、次のようになります。
| 形式 | 視点 | 特徴 | 向いているテーマ |
|---|---|---|---|
| Q&A形式 | 対話 | わかりやすくテンポが良い | 情報量の多い取材・複数テーマ |
| モノローグ形式 | 一人称 | 感情移入しやすい | 人柄・想い・ストーリー |
| ルポ形式 | 三人称 | 臨場感を表現できる | 読み物・ドキュメンタリー |
どの形式を選ぶかは、記事の目的とターゲット読者に合わせて決めることが大切です。
インタビュー記事作成前の事前準備
インタビュー記事の質は、取材が始まる前の準備でほぼ決まると言っても過言ではありません。ここでは執筆前に押さえておきたい4つの準備を解説します。
目的とターゲットを明確にする
まず「誰に、何を伝えるための記事か」という目的とターゲットを言語化します。採用候補者に働きやすさを伝えたいのか、見込み顧客に導入効果を示したいのかで、聞くべき質問も選ぶ形式もまったく変わります。目的が曖昧なまま取材に進むと、話が発散して使いどころのない原稿になりがちです。
記事構成を決める
目的が定まったら、記事全体の構成をおおまかに設計します。どんな見出しで、どんな流れで読者に伝えるかを先に描いておくと、当日「どの質問が記事のどこに使えるか」を意識しながら会話を進められます。構成が決まっていれば、執筆時の手戻りも減ります。
質問リストを作成する
構成にもとづき、具体的な質問リストを作成します。聞きたいことを箇条書きにするだけでなく、優先順位をつけておくと、時間が限られた取材でも重要な質問を取りこぼしません。質問は「はい/いいえ」で終わるものより、相手が自由に語れるオープンな問いを中心に据えると、エピソードを引き出しやすくなります。
インタビュー相手をリサーチし依頼する
取材相手が決まったら、経歴・実績・過去の発信内容などを事前にリサーチします。相手の背景を理解しておくことで、質問の精度が上がるだけでなく、「よく調べてくれている」という信頼にもつながります。依頼時には、取材の目的・所要時間・当日の流れ・記事の公開先を明確に伝え、相手が安心して協力できる状態を整えましょう。
インタビュー当日に成功させるポイント
準備が整ったら、いよいよ取材当日です。限られた時間で良い素材を引き出すための4つのポイントを紹介します。
録音・録画を必ず行う
インタビュー中は会話に集中したいため、その場でメモを取りきるのは困難です。必ず録音(可能なら録画も)を行い、後から正確に振り返れるようにしましょう。開始前に必ず相手へ録音の許可を取ることがマナーです。近年はAIによる自動文字起こしツールが実用レベルに達しており、録音環境が良ければ高い精度でテキスト化できるため、後工程の負担を大きく減らせます。
アイスブレイクで話しやすい雰囲気を作る
本題に入る前に、天気や近況などの軽い雑談でアイスブレイクを挟み、相手が話しやすい雰囲気を作ります。緊張がほぐれるほど本音やエピソードが出やすくなり、記事の深みにつながります。相手の緊張は書き手にも伝わるため、まずは自分がリラックスして臨むことも大切です。
5W1Hを意識して質問を深掘りする
回答が浅いと感じたときは、5W1H(When・Where・Who・What・Why・How=いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して問い返すと、話を具体化できます。たとえば「大変でした」という答えには「具体的にどんな場面が大変でしたか(What)」「なぜそう感じたのですか(Why)」と掘り下げることで、読者に伝わる具体的なエピソードや数字を引き出せます。曖昧な回答を放置せず、一歩踏み込むことが良質な素材づくりのカギです。
相手の話に集中し、本筋から逸れた質問も取り入れる
質問リストを消化することに気を取られると、相手の話を聞き逃してしまいます。次の質問を考えるより、まず目の前の回答にしっかり耳を傾けましょう。また、会話の中で相手が熱を込めて語り始めたら、本筋から少し逸れていても掘り下げてみる柔軟さが大切です。予定になかった脱線から、記事の核となるエピソードが生まれることは珍しくありません。
インタビュー記事の書き方【執筆〜公開までの流れ】
取材が終わったら、いよいよ執筆です。ここでは文字起こしから公開までの5ステップを順に見ていきます。
文字起こしをする
まずは録音した音声を文字に起こします。手作業では時間がかかるため、AI文字起こしツールを使えば作業を大幅に効率化できます。ただし固有名詞や専門用語は誤変換されやすいので、音声と照らし合わせて確認・修正する工程は欠かせません。名言や重要な発言ほど、正確さを丁寧にチェックしましょう。
全体構成を組み立てる
文字起こしができたら、事前に決めた構成をもとに、どの発言をどの見出しに配置するかを組み立てます。取材では時系列がバラバラに語られることも多いため、読者が理解しやすい順序に並べ替えます。この段階で「伝えたいメッセージ」を軸に、使う発言と使わない発言を取捨選択します。
本文を執筆する(冒頭で相手を紹介する)
構成が固まったら本文を執筆します。記事の冒頭では、インタビュー相手が何者なのか(氏名・肩書き・実績など)を簡潔に紹介し、読者が「この人の話を読む理由」を理解できるようにします。本文では選んだ形式(Q&A・モノローグ・ルポ)に沿って、相手の言葉づかいや人柄が伝わるように文章化していきます。
編集・校正を行う
執筆後は、誤字脱字・事実誤認・表現の重複などを編集・校正でチェックします。話し言葉のままでは冗長になりやすいため、意味を変えない範囲で読みやすく整えることも重要です。第三者に読んでもらうと、独りよがりな表現に気づきやすくなります。
インタビュー相手のチェックを受けて公開する
公開前には、必ずインタビュー相手に原稿を確認してもらいます。発言の意図が正しく反映されているか、事実関係に誤りがないか、公開してよい内容かを本人に確認することで、トラブルを未然に防げます。修正依頼を反映し、双方が合意したうえで公開する——このひと手間が、信頼される記事づくりの基本です。
インタビュー記事でよくある失敗パターンと注意点
はじめてインタビュー記事を書く際に陥りやすい失敗を、あらかじめ知っておきましょう。
発言をそのまま載せてしまう
話し言葉には言い淀みや繰り返しが多く、録音した会話をそのまま文字にしても読みにくい記事になります。意味を変えない範囲で整理し、読者が理解しやすい文章へと再構成するのがライターの仕事です。ただし、整えすぎて本人らしさが消えてしまわないよう、言葉づかいのニュアンスは残すバランス感覚が求められます。
記事タイトルに「インタビュー」と入れてしまう
タイトルに単に「◯◯さんインタビュー」と入れるだけでは、読者は記事から何を得られるのかがわかりません。語られた内容の中でもっとも魅力的なメッセージや具体的な数字を切り取り、思わず読みたくなるタイトルにすることが、クリックされる記事への第一歩です。
事前リサーチ不足のまま取材に臨む
相手の背景を調べずに取材に臨むと、質問が表面的になり、すでに公開されている情報を繰り返し聞くだけの薄い記事になってしまいます。事前リサーチは、深い質問と信頼関係の両方を支える土台です。準備を怠らないことが、結果的に取材時間を有効に使うことにつながります。
著作権の所在を曖昧にする
インタビュー記事の著作権の扱いは、意外と見落とされがちな注意点です。記事の構成や編集にはライター側の創作性が認められる一方、発言者にも権利が及ぶケースがあり、状況によって帰属の判断は分かれます。だからこそ、記事の利用範囲や二次利用の可否について、取材の段階で取り決めておくと安心です。あわせて、発言者の氏名表示や、発言を大きく改変して使う場合の同意など、著作者人格権にも配慮しましょう。判断に迷う場合は、事前に取材相手と条件を書面で確認しておくことをおすすめします。
読者を惹きつけるインタビュー記事にするコツ
最後に、ありきたりな記事から一歩抜け出し、最後まで読まれる記事にするためのコツを紹介します。
具体的なエピソードや数字を盛り込む
「頑張りました」といった抽象的な言葉より、「半年で問い合わせが3倍になった」という具体的な数字や、実際にあった出来事のエピソードのほうが、読者の心に残ります。取材の段階で5W1Hを使って具体化しておいた素材が、ここで生きてきます。
インタビュイーの人柄が伝わる表現を使う
読者が惹きつけられるのは、情報だけでなく「人」です。相手が印象的に使った言い回しや、笑顔で語った瞬間の描写を残すことで、インタビュイーの人柄や魅力が立ち上がります。特にルポ形式では、その場の雰囲気を描くことで、読者はまるでその場に居合わせたかのような感覚を得られます。
視覚的要素(キャプチャ・図解)を活用する
文章だけの記事は、どうしても単調になりがちです。取材時の写真、発言を引用したキャプチャ、話の内容を整理した図解などの視覚的要素を加えることで、記事にリズムが生まれ、内容も直感的に伝わります。読者の離脱を防ぐうえでも、視覚的な工夫は効果的です。
よくある質問
インタビュー記事の書き方は何種類ありますか?
代表的なのは、Q&A形式(対談形式)、モノローグ形式(一人称形式)、ルポ形式(三人称形式)の3種類です。Q&Aは会話をわかりやすく伝える形式、モノローグは本人が語る形で感情移入を誘う形式、ルポは第三者視点で臨場感を描く形式です。記事の目的や読者に合わせて使い分けます。
インタビュー記事を書くときのコツは?
事前準備で目的とターゲットを明確にし、当日は5W1Hを使って回答を深掘りすること、そして具体的なエピソードや数字を盛り込むことが大きなコツです。加えて、発言をそのまま載せず読みやすく再構成すること、公開前に必ず本人チェックを受けることが、質の高い記事につながります。
まとめ
インタビュー記事は、事前準備・当日の質問・執筆という3つの工程それぞれにコツがあり、どれか一つでも欠けると読者に響く記事にはなりません。目的とターゲットを明確にし、5W1Hで話を深掘りし、具体的なエピソードで人柄を伝える——この積み重ねが、読まれるインタビュー記事をつくります。まずは今回紹介した流れに沿って、一つひとつの工程を丁寧に実践してみてください。
