CJM(カスタマージャーニーマップ)とは|意味・作り方・活用のポイントを解説

CJM カスタマージャーニーマップ マーケティング戦略

「CJMという略語は会議で飛び交うし、なんとなく意味も分かる。でも自分たちが作ったあのマップ、本当に正しく作れているのだろうか」——そんなモヤモヤを抱えたまま、作りかけのシートを開かなくなってしまった経験はないでしょうか。CJMは、作ること自体は難しくありません。難しいのは「施策に使えるCJM」にすることです。この記事では、CJMの意味と目的から、6ステップの具体的な作り方、タッチポイントやKPIの考え方、そしてつまずきやすい失敗パターンまでを順に整理します。

CJM(カスタマージャーニーマップ)とは何か

CJMは「Customer Journey Map」の略

CJMとは、Customer Journey Map(カスタマージャーニーマップ) の頭文字を取った略語です。日本語では「顧客体験の旅路を1枚に描いた地図」と説明されることが多く、顧客が商品やサービスを認知してから購入・利用・継続に至るまでの行動・思考・感情を、時系列に沿って可視化したものを指します。

Nielsen Norman Group(NN/g)は、ジャーニーマップを「ある人がゴールを達成するまでのプロセスを可視化したもの」と定義しています。ポイントは主語が「企業」ではなく「顧客」である点です。自社の営業プロセスやファネル図は企業側の視点で描かれますが、CJMはあくまで顧客の側から見た体験を描きます。この主語の違いが、後述する失敗パターンの多くを分ける分岐点になります。

なお、混同されやすい言葉に「カスタマージャーニー」があります。カスタマージャーニーが顧客の体験プロセスという概念を指すのに対し、CJMはそれを図として可視化した成果物を指します。

CJMの構成要素|「誰の」「どの段階の」「何を」描くのか

CJMは自由に描いてよい図ですが、NN/gが挙げるように、構成要素にはある程度の共通の型があります。BtoBマーケティングで使う場合の一般的な構成要素を整理すると、次のとおりです。

構成要素 内容 BtoBでの例
ペルソナ(アクター) 誰のジャーニーなのかを特定する 従業員300名規模のメーカーのマーケ課長
ステージ(フェーズ) ジャーニーを区切る段階 課題認識 → 情報収集 → 比較検討 → 稟議 → 導入
行動 各ステージで顧客が実際にとる行動 「BtoB MA 比較」で検索、資料を3社分ダウンロード
思考・課題 そのとき考えていること、疑問 「うちの規模でも使いこなせるのか」
感情 期待・不安・不満の起伏 価格が非公開で不安が高まる
タッチポイント 顧客と企業が接触する接点 検索結果、比較記事、資料、ウェビナー、商談
自社の対応策 各段階で打つべき施策 料金の考え方を説明する記事を用意する
KPI 対応策の効果を測る指標 資料ダウンロード数、商談化率

このうち、実務で最も抜けやすいのが「感情」と「KPI」です。行動とタッチポイントだけを並べた図は、実質的にはコンテンツの一覧表であり、CJMというより施策リストになってしまいます。

タッチポイントとは何か

CJMの説明で必ず出てくるタッチポイント(顧客接点) とは、顧客が企業やブランドに触れるあらゆる接点のことです。広告、検索結果、Webサイト、SNS投稿、メール、資料、展示会、商談、導入後のサポートまで、顧客の認識や態度に影響を与えうる接触はすべてタッチポイントに含まれます。

タッチポイントはオンラインとオフラインの両方に存在し、購入の瞬間だけでなくその前後にも広がっている点が重要です。BtoBでは特に、次のように整理すると洗い出しやすくなります。

種類
オンライン・自社管理 Webサイト、ブログ記事、資料、メルマガ、ウェビナー、自社SNS
オンライン・他社管理 検索結果、比較サイト、レビューサイト、業界メディア、口コミ
オフライン 展示会、セミナー、営業訪問、電話、紹介、既存顧客からの評判

「自社が管理できないタッチポイント」を含めて書き出せるかどうかが、CJMの精度を大きく左右します。

CJMの目的は「顧客理解の共通言語」をつくること

CJMの目的は何かと問われたら、突き詰めると「顧客理解を、部署をまたいで共有できる共通言語に変えること」 です。

マーケティング部門は「リードは十分に供給している」と考え、営業部門は「質が低い」と感じている。カスタマーサクセスは「そもそも期待値がずれた状態で契約している」と感じている。こうしたすれ違いは、各部署が顧客の別々の断片しか見ていないために起こります。CJMは、その断片を1本の時間軸の上に並べ直し、「どの段階で何が起きているのか」を全員が同じ絵で議論できる状態をつくるための道具です。

つまりCJMは、きれいな図を完成させること自体が目的ではありません。作る過程で交わされる議論と、その後に生まれる意思決定こそが成果物だと考えるべきです。

CJMがBtoBで重視される背景

商談前に購買プロセスの大半が終わっている

BtoBでCJMが重視される最大の理由は、購買行動が営業の見えないところで進むようになったことです。

Gartnerの調査では、BtoBの購買担当者が購買プロセス全体のなかでサプライヤーとの面談に費やす時間はわずか17%程度とされています。残りは、オンラインでの独自の情報収集(約27%)、オフラインでの独自調査(約18%)、社内の購買関係者との打ち合わせ(約22%)などに使われています。しかも複数社が競合している場合、1社あたりに割かれる時間は数%まで落ち込みます。

営業が接触できるのは、顧客の意思決定プロセスのごく一部でしかない。だからこそ、「営業が会えていない83%の時間に、顧客は何を見て、何に迷っているのか」を仮説として描き出す必要があります。CJMはそのための仮説設計フォーマットです。

意思決定に関わるのは1人ではない

もう一つのBtoB特有の事情が、購買の意思決定に関わる人数の多さです。Gartnerは、典型的なBtoBの購買グループは6〜10名程度の関係者で構成され、それぞれが独自に情報を集めていると指摘しています。現場の担当者、その上長、情報システム部門、法務、経理、決裁者と、立場によって関心も不安も異なります。

そのため、BtoBのCJMでは「1枚で全員をカバーしようとしない」判断が重要になります。まずは推進役となる担当者のジャーニーを1枚描き、必要に応じて決裁者版・情シス版を追加していくほうが現実的です。

AIDMA・AISASなど態度変容モデルとの関係

CJMを学ぶと、AIDMAやAISASといった態度変容モデルとの違いが気になってきます。整理すると次のようになります。

位置づけ 特徴
AIDMA 1920年代に米国で提唱された購買心理プロセスのモデル Attention→Interest→Desire→Memory→Actionという心理の変化を単純化して表す
AISAS 2005年に電通が提唱したモデル Search(検索)とShare(共有)が加わり、ネット時代の行動を反映
CJM 顧客体験を可視化する成果物 心理プロセスに加え、行動・タッチポイント・自社施策まで具体的に書き込む

AIDMAやAISASは「心理がどう動くか」の型を示すフレームワークであり、CJMはその型に自社固有のタッチポイントと施策を肉付けしたものと捉えると分かりやすくなります。実務では、ステージ分けに迷ったときの下敷きとして態度変容モデルを使い、そこに自社の顧客の実態を当てはめていく進め方が有効です。

CJMを作成する3つのメリット

顧客行動とタッチポイントの仮説が立てられる

CJMを作ると、「顧客はいつ、どこで、自社を知り、何を比較し、何につまずくのか」を仮説として文字にできます。仮説になっていれば、検証もできます。たとえば「比較検討段階では料金の不透明さが最大の不安」という仮説を置けば、料金の考え方を説明するコンテンツを用意し、その閲覧後の商談化率を測るという具体的な検証設計に落とせます。

漠然と「コンテンツを増やそう」と議論している状態から、「このステージのこの不安を解消するコンテンツが足りない」という具体の議論に移れることが、最初のメリットです。

部署をまたいだ共通認識ができる

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス。各部署は顧客の異なる区間を担当しています。CJMを1枚の壁に貼ると、担当区間の境目——たとえばインサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎ時に顧客の期待値がどうずれるか——が可視化されます。

この「境目の可視化」は、社外パートナー(広告代理店、制作会社など)との認識合わせにも効きます。同じ絵を見ながら「今回の施策はこのステージを狙う」と合意できるだけで、手戻りは大きく減ります。

課題が可視化され、施策の優先度を判断できる

CJMに感情の起伏を書き込むと、体験が大きく落ち込むポイントが視覚的に浮かび上がります。施策の候補が20個あるとき、すべてに着手することはできません。「顧客の感情が最も落ちる場所」という判断軸があれば、限られたリソースをどこから投じるかを説明できます。この「説明できる」ことが、社内で予算と人を確保するうえで効いてきます。

CJMの作り方|6つのステップ

CJMの作成は、大きく6つのステップに分けられます。まず全体像を確認しましょう。

ステップ やること アウトプットの例
1 ペルソナを設定する 業種・企業規模・役職・課題・情報収集手段を書いた1枚
2 スタートとゴール(スコープ)を決める 「課題を認識した瞬間」から「導入決定」まで
3 顧客行動を洗い出し、ステージ化する 5前後のステージと各ステージの行動リスト
4 タッチポイントを洗い出す ステージ別のオンライン/オフライン接点一覧
5 顧客感情の変化を整理する 感情の折れ線と、落ち込む地点の理由
6 自社の対応策を明確にする ステージ別の施策案とKPI

ステップ1:ペルソナを設定する

最初に「誰のジャーニーか」を決めます。BtoBのペルソナでは、個人の趣味嗜好より業種・企業規模・部署・役職・抱えている業務課題・情報収集の手段・社内の決裁フローのほうが重要です。

ここで欠かせないのが、想像で埋めないことです。既存顧客への短時間のヒアリング、営業の商談記録、問い合わせフォームの自由記述、検索クエリのデータなど、手元にある一次情報を必ず参照します。NN/gの調査を紹介する複数の解説では、多くの実務者が顧客調査ではなく社内の既存知識からジャーニーマップの作成を始めてしまい、結果として「社内の思い込みを追認するだけの地図」になっている点が問題として指摘されています。5人でもよいので実際の顧客の声を入れると、精度は大きく変わります。

ステップ2:ジャーニーのスタートとゴール(スコープ)を決める

次に、描く範囲を決めます。ここを曖昧にすると、マップが際限なく広がって収拾がつかなくなります。

  • スタート:「課題を自覚していない状態」から始めるのか、「比較検討を始めた状態」から始めるのか
  • ゴール:「初回商談」なのか「受注」なのか「継続利用・アップセル」なのか

BtoBで初めて作るなら、「課題認識」から「受注」までに絞るのが扱いやすい範囲です。導入後の定着や解約防止を扱いたい場合は、別のマップとして分けて作るほうが運用しやすくなります。

ステップ3:顧客行動を洗い出し、ステージ化する

スコープを決めたら、その中で顧客が取る行動を付箋レベルで大量に書き出します。「業界メディアの記事を読む」「社内で困りごとを相談する」「『◯◯ 比較』で検索する」「3社に資料請求する」「上長に提案する」といった粒度です。

書き出した行動をグルーピングし、意味のあるまとまりに区切ったものがステージです。ステージ数は4〜6程度が扱いやすく、多すぎると1画面で俯瞰できなくなります。ステージ名は「認知」「興味」のような抽象語より、「課題を言語化する」「候補を3社に絞る」のように顧客の到達点で表現すると、施策に落としやすくなります。

ステップ4:タッチポイントを洗い出す

各ステージで顧客が接触する接点を書き込みます。ここでのコツは、自社が管理できない接点も必ず書くことです。比較サイト、レビュー、業界メディア、同業他社の口コミ、社内の別部署からの評判など、自社の手が届かない場所での情報接触こそが、BtoBでは判断を左右します。

書き出したあと、「このタッチポイントに自社は存在しているか」を一つずつ確認していくと、施策の空白地帯が見つかります。

ステップ5:顧客感情の変化を整理する

ステージごとに、顧客の感情を「期待」「不安」「不満」「安心」といった言葉と、上下する折れ線で表現します。重要なのは感情そのものより、なぜそう感じるのかの理由です。

  • 情報収集段階:情報が多すぎて何を基準に選べばよいか分からない(不安)
  • 比較検討段階:料金が非公開で社内に説明できない(不満)
  • 稟議段階:投資対効果を数字で示せず、上長を説得できない(不安)

このように理由まで書けていれば、次のステップの対応策が自動的に導かれます。

ステップ6:自社の対応策を明確にする

最後に、感情が落ち込むポイントに対して自社が何をするかを書き込みます。「料金の考え方を説明する記事」「導入効果を試算できるシート」「同規模企業の導入事例」といった具体のアウトプット単位まで落とすのがポイントです。あわせて、担当部署と実施時期も書いておくと、マップがそのまま実行計画になります。

作成に使えるツール

CJMは紙と付箋でも作れますが、リモートでの共同作業やその後の更新を考えるとデジタルツールが便利です。

ツール 特徴
Miro オンラインホワイトボード。付箋感覚で編集でき、CJM用テンプレートも用意されている
FigJam(Figma) 広いキャンバスで共同編集できる。デザイン部門と連携しやすい
UXPressia ジャーニーマップ・ペルソナ作成に特化。共有やプレゼンがしやすい
Smaply 顧客体験のフェーズ定義やジャーニーの運用管理に特化した専用ツール
スプレッドシート 無料で始められ、更新履歴も残る。まず1枚作るなら十分

初めて作る場合は、凝ったツールより「関係者全員が同時に触れること」を優先して選ぶことをおすすめします。

CJMをマーケティング施策に活かす方法

顧客感情が落ちるタイミングに対応策を打つ

CJMの最も実践的な使い方は、感情の折れ線が下がっている地点を優先的に手当てすることです。たとえば「比較検討段階で料金が分からず不安になる」という落ち込みがあるなら、価格そのものを公開しなくても、「費用の考え方」「見積もりに影響する要素」「他社との比較軸」を解説するコンテンツで不安は下げられます。

逆に、感情が高まっている地点では背中を押す施策(事例、無料トライアル、個別相談)が効きます。同じ予算でも、どのステージに投じるかで成果は変わります。

緊急度×難易度で優先順位を決める

施策候補が並んだら、緊急度(顧客への影響の大きさ)× 実行難易度(工数・コスト・調整の重さ) の2軸でマトリクスに置きます。

難易度:低 難易度:高
緊急度:高 最優先で即着手 計画を立てて中期で実行
緊急度:低 手が空いたときに実施 原則として着手しない

「緊急度が高く、難易度が低い」ものから片づけると、早い段階で成果が出て、CJMを使う取り組み自体への社内の信頼が高まります。

ステージごとにKPIを設定して効果を測る

CJMが施策リストで終わってしまう最大の原因は、KPIが設定されていないことです。ステージごとに測る指標を決めておきましょう。

ステージ 施策の例 KPIの例
課題認識 課題を言語化する解説記事 自然検索の表示回数、新規セッション数
情報収集 比較軸を整理したコンテンツ 記事の読了率、指名検索数
比較検討 料金の考え方の解説、事例 資料ダウンロード数、問い合わせ率
商談・稟議 効果試算シート、稟議資料テンプレート 商談化率、提案から受注までの日数
導入後 オンボーディング支援 継続率、アップセル率

すべてのステージに完璧な指標を置く必要はありません。まずは感情が最も落ち込むステージから1つ、測れる指標を決めることが現実的な一歩です。

CJM作成でよくある失敗と注意点

ペルソナが曖昧なまま作ってしまう

「中小企業の担当者」程度の粒度でペルソナを設定すると、その後のすべての工程がぼやけます。行動もタッチポイントも感情も、「人による」としか書けなくなるためです。実在する既存顧客を1社思い浮かべられるくらいの解像度まで絞り込むのが目安です。

想像だけで作ってしまう

社内の会議室だけで完結させたCJMは、社内の思い込みを図にしただけのものになりがちです。「私たちはこう思う」と「顧客がこう言っていた」では、社内での説得力がまったく異なります。営業の商談記録を読み返す、失注理由を集計する、既存顧客に30分ヒアリングする——どれか一つでも入れるだけで、マップの性質は変わります。

作り込みすぎて運用できなくなる

項目を増やし、色を分け、細かく作り込んだマップは、見た目は立派でも更新されなくなります。更新されないCJMは、時間が経つほど実態からずれ、誰も参照しない資料になります。最初は1枚のシートに収まる粒度で作り、運用しながら足りない項目を足していくほうが長続きします。

1人で作成し、関係部署を巻き込めていない

CJMの価値の大半は、作成過程の議論から生まれます。マーケ担当者が1人で完成させて共有しても、他部署にとっては「誰かが作った資料」でしかありません。営業やカスタマーサクセスを2時間のワークショップに巻き込むだけで、当事者意識は大きく変わります。完成度の高い1枚より、全員で作った粗い1枚のほうが機能します。

KPIを設定しないまま運用してしまう

前述のとおり、KPIがないCJMは効果を検証できず、改善のループが回りません。「作ったけれど、結局どうだったのか分からない」という状態は、次回以降の取り組みへの社内の支持を失わせます。

作成者視点で作ってしまう

最後に、最も根深い失敗が「主語が企業になってしまう」ことです。「資料をダウンロードさせる」「商談を設定する」といった記述が並んでいたら要注意です。CJMの行動欄には、「資料をダウンロードする」「上長に相談する」という顧客の主語で書かれた文だけが並ぶべきです。書き終えたあとに主語だけをチェックする習慣をつけると、この失敗はかなり防げます。

CJMは作って終わりにせず、定期的に見直す

CJMは一度作れば完成する資料ではありません。顧客の情報収集の手段も、競合の状況も、自社の提供価値も変わっていくためです。

見直しのタイミングとしては、次のような機会を目安にするとよいでしょう。

  • 半年〜1年ごとの定期レビュー
  • 主力サービスの内容や価格を変更したとき
  • 新しいターゲット層や新市場に取り組むとき
  • 検索結果の傾向や主要な情報収集チャネルが大きく変わったとき
  • 失注理由や解約理由の傾向が変化したとき

運用を続けるコツは、更新を個人の善意に任せないことです。「四半期ごとの施策レビュー会議の冒頭でCJMを開く」「失注理由の集計結果を必ずマップに反映する」といったように、既存の定例業務にひもづけてしまうのが確実です。あわせて、更新履歴が残る場所(共有ドライブやオンラインホワイトボード)に置き、誰でもコメントできる状態にしておくと、現場からの情報が自然に集まるようになります。

まとめ

CJM(カスタマージャーニーマップ)は、Customer Journey Mapの略で、顧客が課題を認識してから購入・利用に至るまでの行動・思考・感情・タッチポイントを時系列で可視化した図です。その目的は、きれいな図を作ることではなく、顧客理解を部署をまたいだ共通言語に変えることにあります。

BtoBでCJMが重視されるのは、購買担当者がサプライヤーとの面談に使う時間が購買プロセス全体の2割弱にとどまり、6〜10名規模の購買グループが営業の見えないところで検討を進めるという現実があるためです。営業が接触できない時間に何が起きているかを仮説として描く道具が、CJMだと言えます。

作り方は、1.ペルソナ設定、2.スコープ決定、3.行動の洗い出しとステージ化、4.タッチポイントの洗い出し、5.感情の整理、6.自社の対応策の明確化、という6ステップです。完成したら、感情が落ち込む地点から優先的に手を打ち、緊急度×難易度で施策を並べ、ステージごとにKPIを設定して検証まで回します。

一方で、ペルソナが曖昧、想像だけで作る、作り込みすぎる、1人で作る、KPIがない、主語が企業になっている——これらはCJMが機能しなくなる典型的なパターンです。そして何より、CJMは作って終わりではなく、半年〜1年ごとの見直しを定例業務に組み込んで初めて資産になります。まずは1枚、粗くてもよいので関係者と一緒に描いてみるところから始めてみてください。

タイトルとURLをコピーしました